夏目漱石のパクリ版風、ココちゃん物語のはじまり、はじまり

今週のお題「ホーム画面」

 

 最近新しいパソコンを買いました。そこにはまだホーム画面は設定していません。旧パソコンのデスクトップには我が家の愛猫のココちゃんの写真がアップされていました。本日はココの思い出をココ目線で綴りたいと思います。

 

    

 我輩は猫である。名前はココ。ある日、我輩がペットショップでくつろいでいると元スマップの草薙剛によく似た男の子が彼女とやってきて我輩を見初め、バイトで稼いだ金、9万円で我輩を購入。それも女の子として。我輩は正真正銘の男子なのにペットショップもなにを考えているんだ。

 我輩?なんか明治っぽいな、ここからは今風の僕に変更する。僕は血統書によると、父、プー太郎、母、ななえの間に生まれたゴールデンチンチラ、無礼者、僕はれっきとした男子である。後日僕が階段の5段目から落下してちょっと怪我をして獣医さんに連れて行かれたとき、女医さんに「この子は男の子です」と言われ、僕の飼い主はペットショップに行き1万円キャッシュバックしてもらったんだ。

 親には内緒で僕を買ったらしく、しばらくの間僕は二階で窮屈な生活を強いられる。ある日その息子のクルクルパーマにメガネの母親が二階に上がって来て僕を発見する。「きゃーどうしたん?でも可愛い」と言って僕を抱きしめる。がさつではあるが、人は良さそうだ。そして僕はその日を境に正々堂々とこの家全体を僕の縄張りとするんだ、マーキングで匂いを付けながら。

 草薙似の息子はバンドをやるために僕をおいてさっさと東京に行ってしまった。その後、両親と娘、次男の4人と1匹で暮らすことになったんだ。娘はちょっと可愛いけど僕のことはすこぶる嫌っていた。娘の部屋のベッドの上にうんちをしたり、嫌われて当然か。こんなこともあったな。娘が美容と健康の為にウオーキングマシンを買ったんだ。初めてそれを動かした時、僕もすごい興味を覚え、格好良く飛び乗った、と同時に挟まった。「痛いっ、どうすりゃいいんだ?助けてえー」クルクルパーマと娘は必死ではずそうとするが、僕も痛いから手に噛みつく、やっとはずれたが、お陰様で怪我は無かった。それ以来マシンはホコリをかぶったままだ。大体においてこの家の家族は不要なものを買いすぎるんだ。草薙似がサンドバックのセットも買って設置したが、やっているところは見たこと無かったぞ。

 今思えば、ペットショップで買われた時、僕は美しく気品さえたたえていたとは思う。しかしこの家にきてからというもの風呂に二三度入れてもらったがあまり暴れたため断念された。トリミングも凶暴なために、そういった場合麻酔を打つこともありますと言われ断念された。それ以来僕は自分の唾液で身繕いをしている。そんなに体臭はない。毛玉が沢山できるので、そのカットはクルクルパーマの仕事になった。

 そんな僕にも窓から外を見ているといろいろな女がやってくる。この家の者達は僕の事をチンチラ界のキムタクと言っている。あまり器量の良くない白猫がたまにやって来る。皆は静香と呼んでいる。言っときますが工藤さんは美しいですよ。年増もやってくる。仕方なく雄叫びをあげて付き合ってやっている。ガラス越しの恋。しかし僕は童貞のまま一生を終えるのか。

 クルクルパーマは友達をお茶に呼ぶのが好きで結構いろんな人が訪ねて来た。僕は好き嫌いが激しいから、それぞれ対応が違ってくる。今一、気に入らないとシャーっと威嚇する。気に入った人にはすり寄って行く。

 そんなこんなで16年間この家でお世話になった。最後は膵臓がんだった。僕の家族葬には草薙似が東京から新幹線で帰って来た。普段は1年に1度くらいしか帰らないのに。

 今僕は庭の片隅でゆっくりと休んでいる。時々クルクルパーマが江ノ島で買ってきた猫と話しながら。

 

               お し ま い