いい本に出会った

久しぶりにいい本に出会った。「すぐ死ぬんだから」以来だ。2日で読み終えた。

 

 「玄耳と猫と漱石と」 「南州先生大将服焼片」の2作が収められている。安田満著

 

「玄耳と猫と漱石と」 

 夏目漱石朝日新聞に入れるのに功のあった渋川玄耳という人の目から見た猫を介した漱石との交流などを描いている。安田満さんは大正生まれの作家さんだ。難しい読めない漢字が沢山出てくるのだが、その間の文章は飾らなくてわかりやすい。猫を介しての玄耳と漱石のやりとりがとてもいい。現代のようにセカセカせず、時間がゆっくり流れていく。大正元年の頃の時代背景も見えてくる。

 

「南州先生大将服焼片」

 西南戦争の時、もう負け戦とわかっている西郷軍が地元の農民、八五郎達に道案内を依頼して官軍の陣地を突破して山越えをする。死を覚悟した西郷や兵士達との出会いがえがかれている。でも人生の終わりがすぐそこに見えている人達との出会いはなんとも、もの悲しい。

 戦後に八五郎蝦夷探険家の松浦武四郎との出会いがあるのだが、それはかつて松潤が演じたNHKドラマの「永遠のニッパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎なのだ。松浦は西郷と懇意だったようである。

 

 昔、会社の関係で、親交のあったお寺を訪ねて鹿児島に旅したことがあった。観光バスのガイドさんの話から察すると、西郷さんは凄い人気がある。それに比べて大久保利通さんの人気は今一だ。西郷さん、大久保さんの家族は彼らが新政府の中枢になっていっても、長い間、島津家の家臣だったから肩身の狭い思いはしていたようだ。

 尋ねたお寺も明治政府の廃仏毀釈でかなりご苦労したとのことだ。

考えてみれば明治維新から154年しかたっていない。

 

またいつか、九州を旅してみたい。