映画ナラタージュを見て思うこと

 久しぶりに映画ナラタージュを見た。監督、行定勲、主演、松本潤、そして有村架純

 高校の演劇クラブの顧問の葉山貴司、1人孤立している高校3年生の工藤泉、泉が葉山に演劇部に誘われてから2人の恋が始まる。

 ナラタージュとは映画などで、ある人物の語りや回想によって過去を再現する手法と書いてある。雨降りの日、映画の配給会社に勤めている泉が、まだ1人残っていると同僚の男性(瀬戸康史)がずぶ濡れになって帰ってくる。泉はタオルを出して男性に拭くように奨める。雨が降る日にはいつも泉が懐中時計を出して眺めているのを見ていて、男性が好きな人から貰ったものかと尋ねる。そして泉の回想シーンが始まる。回想シーンのせいか、映画の色彩が全般に抑え気味というかレトロな感じがする。

 葉山には別れて暮らしている妻がいる。葉山の母との同居で神経をすり減らしてしまった妻は自宅の物置に火を付けて、姑がいる母屋にも火をつけるつもりだったようだ。心を病み今は実家で暮らしている。そんな妻をわかってやれなかった自分を葉山は責めている。泉が葉山に「奥さんとは別れたんですか?」と尋ねた時、葉山は、はっきり「別れた」と答えた。卑怯な男だとは思うけど、そこで妻とは別れていないと言ったら、泉が離れっていってしまうのが怖かったのかもしれない。泉は葉山の逃げ込む場所だから。

 とにかくお互いに好きなんだけど、どうしようも無い歯痒さが伝わってくる。有村架純の目がいい。「目は口ほどにものをいう」ということわざがあるが、まさに彼女の目はうったえている。

 富山がロケ地だったようだが、特に葉山の自宅のある場所は川や橋があり素敵だ。時々古い映画館もでてくる。そして古い映画を上映している。ちょっとニュウ・シネマ・パラダイスを思い出した。たまたま映画館で帰りが一緒になり、2人で相合い傘で帰って行くシーンがいい。最後のラブシーンは強烈だった。でも綺麗。

 ハッピーエンドで終わる恋もあれば、叶わぬ恋もある。葉山と泉の恋はきっと心の片隅に宝物として生き続けるのかもしれない。